2023-01-01から1年間の記事一覧

A01. ヘンデル:王宮の花火の音楽

吹奏楽のたどってきた道について、具体的な楽曲というものが残っていない時代にまでひとまず遡るとして、管(打)楽器はおもにその音量ゆえに、権力者がその威を振るう必要がある場面、あるいはそこまでいかなくとも共同体の結びつきと関わるかたちで役立てら…

50. グレグソン:剣と王冠

救世軍のもとで幼いころからブラスバンドに触れ、10代での初出版がブラスバンド作品だった*1エドワード・グレグソン(グレッグスン) Edward Gregson(1945-)についても、バンド分野への貢献はまずブラスバンドについて語るべきでしょう。Prelude for an Oc…

49. ブルジョワ:シンフォニー・オブ・ウィンズ

若いころから作曲を学び18歳で交響曲第1番 (1960) を発表する一方で、オーケストラでチューバを吹いていた経験もあるというデレク・ブルジョワ(ブージェワ)Derek Bourgeois (1941-2017) は、やはりイギリスの作曲家らしくブラスバンドからバンドの分野に接…

48. ウィテカー:ゴースト・トレイン

90年代半ばから2000年代は、1970年前後生まれの世代の作曲家たちがしだいに頭角を現していった時代にあたりますが、最初の器楽作品である『ゴースト・トレイン』Ghost Train Triptych (1993-95) で注目を集めたエリック・ウィテカー Eric Whitacre (1970-) …

47. マー:エンデュランス

トロンボーン奏者としてバンドに関わっていた大学時代、ティモシー・マー Timothy Mahr (1956-) はバンドの弱奏、その「美しさ」に気づかされたと語っています。このエピソードからは、彼がオストウォルド賞を与えられた2作*1、『空高く舞う鷹』The Soaring …

46. ギリングハム:ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス

シュワントナーの項でも書いたように、1980年代後半から90年代にかけてはバンド作品における打楽器、とくに鍵盤楽器や金属打楽器の活躍が大きく広がった時期ですが、デヴィッド・ギリングハム David Gillingham (1947-) はその潮流を代表する一人と言えるで…